HOME / ブログ / AIでSNS運用はどこまで自動化できるか? 2025.12.04 BRANDING SNS運用ブランディング AIでSNS運用はどこまで自動化できるか? ── 効率化と“ブランドらしさ”を両立させる考え方**「SNS運用はAIでほぼ自動化できる」最近、そうした言葉をよく耳にします。確かに、投稿文の作成、画像生成、分析、改善提案まで、AIが担える領域は急速に広がっています。しかし実務の現場で重要なのは、“どこまで自動化していいのか”を正しく見極めること です。SNSは単なる作業ではありません。ブランドの人格が、日々言葉として発信される場です。だからこそ、自動化すべき領域と、人が担うべき領域を分けて考える必要がある のです。 ■ なぜSNS運用は「自動化しすぎる」と失敗するのか AI導入に失敗する企業には、共通した傾向があります。① 投稿が“それっぽい言葉”で溢れてしまうAIが生成する文章は整っています。しかし、その多くは・無難・平均的・どこかで見たことがあるという印象になりがちです。SNSでは、この「どこかで見た感じ」が致命的です。ブランドの“人間味”が消え、フォローされる理由がなくなってしまいます。② ブランドのトーンが日々ブレるAIは毎回最適な表現を探します。しかしブランドに必要なのは、一貫した語り口・価値観・温度感。自動生成だけに頼ると、昨日と今日で人格が違うアカウントになってしまいます。③ “反応を見る力”が育たないSNS運用の本質は、「投稿 → 反応 → 解釈 → 改善」の繰り返しです。すべてをAIに任せると、人が考える機会を失い、運用ノウハウが社内に残らない という問題が起こります。 ■ AIで“自動化していい領域” では、どこまでAIに任せていいのでしょうか。結論から言うと、「思考の前段階」 です。① 投稿アイデアの大量生成ネタ出しはAIが最も得意とする分野です。・テーマ別投稿案・季節・イベント連動ネタ・フォロワー参加型企画案これらをAIに出させることで、「何を投稿しよう…」という時間をゼロにできます。② 投稿文の下書き作成トーンや条件を指定すれば、AIは一定水準の文章を高速で生成します。重要なのは、そのまま使わないこと。人が・言葉の温度・ブランドらしさ・実体験の要素を加えることで、投稿は“生きた言葉”になります。③ 分析・数値整理インサイト分析や投稿結果の整理は、AIが非常に得意です。・伸びた投稿の共通点・保存・コメントが多いテーマ・曜日・時間帯ごとの傾向これらを瞬時に整理することで、人は「なぜ伸びたか」を考えることに集中できる ようになります。 ■ AIに“任せてはいけない領域” 一方で、SNS運用において人が必ず担うべき領域 もあります。● ブランドの世界観設計・どんな言葉で語るのか・どんな価値観を大切にするのか・何を言わないブランドなのかこれらは、経営や哲学と直結します。AIには決められません。● 投稿の最終判断「この投稿は今出すべきか」「この表現はブランドとして正しいか」この判断は、ブランドに責任を持つ人間の仕事 です。● フォロワーとのコミュニケーションコメント返信やDM対応には、人の感情を感じ取る力が必要です。ここを自動化しすぎると、ブランドは一気に“冷たい存在”になります。 ■ AI × SNS運用で成果が出る設計図 成功している企業は、次の役割分担をしています。AI:量・速度・整理人:判断・感情・一貫性AIを「担当者」ではなく、“優秀なアシスタント”として使っている のです。 ■ SNS運用は“自動化”ではなく“高度化”する AIによってSNS運用は楽になります。しかし、その分、ブランドの質がより問われる時代 にもなりました。・世界観がないブランドは埋もれる・言葉が薄いブランドは忘れられる・想いがない発信は共感されないAI時代のSNS運用とは、人の役割が減るのではなく、より高度になること なのです。 ■ まとめ:AIはSNS運用の“土台”を支える AIでできることは、SNS運用の「作業部分」を大きく減らすこと。 そして人がやるべきことは、ブランドとして何を語り、どう在り続けるかを決めること。 この役割分担ができたとき、SNSは“疲れる業務”からブランドを育てる資産 へと変わります。 【次回予告】 次回は、「“売れるLP”の方程式を公開」 をテーマに、LP制作で外せない 6つの構成要素 と、SNS・広告からの流入を“購入”へとつなげる文章設計の考え方を解説します。デザインや見た目だけに頼らない、成果につながるLPのつくり方をお伝えします。 北川 聡ブランディング・事業戦略コンサルタントStrategy-Design株式会社大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。 PREVIOUS BACK TO LIST BACK TO LIST NEXT