【飲食業】【年末準備】飲食店の年末商戦準備|10月に整える予約・人員・利益
こんにちは、ストラテジーデザインの吉田です。
今日の記事は、年末商戦を控えた飲食店が10月末から取り組む、予約管理、人員配置、メニュー別利益の整え方を解説します。
10月末になると、忘年会、家族会食、帰省客、テイクアウト需要など、年末の動きが見え始めます。
一方で、予約が入ってからシフトや仕込みを考えると、現場の負担が急に高まりやすくなります。
個人店から10店舗規模の飲食店では、席数も人員も限られます。
だからこそ、すべての予約を受けるのではなく、利益を残しながら提供できる予約とメニューを選ぶ設計が必要です。
この記事では、10月の最低賃金改定の反映も確認しながら、年末商戦に向けて予約、人員、原価、リピート施策を整える手順を紹介します。
この記事の要点
年末商戦準備とは、11月から12月の来店増加を見越し、予約枠、人員、商品、原価、接客手順を事前に整えることです。飲食店では、売上計画と現場の提供能力を同時に確認することが重要です。
- 飲食店の年末商戦準備は、集客施策より先に、受けられる予約数と提供できる料理数を決めることから始めます。
- 最低賃金改定後の年末シフトは、時給だけでなく、時間帯別の売上と必要作業から組み直す必要があります。
- 宴会メニューは品数を増やすより、仕込みと提供を共通化し、繁忙時間でも品質を保てる構成にする方が有効です。
- 10月末に予約台帳と日次の利益確認を整えると、年末の売上を追いながら無理な値引きや過剰な人員配置を減らせます。
飲食店の年末商戦は予約枠の設計から始める

年末商戦では、予約件数を増やす前に、店が無理なく提供できる予約枠を決めることが先です。
席が空いていても、厨房や配膳が止まるなら、その時間帯の追加受注は利益と評判の両方を損ねる可能性があります。
まず確認したいのは、昨年や直近の11月から12月における、曜日別・時間帯別の来店状況です。
POSレジや予約台帳にデータが残っていれば、金曜日、土曜日、祝前日などに分けて見ます。
データが十分でない店は、店主や責任者の記憶だけで決めず、直近4週間の伝票枚数でも仮説を置けます。
予約枠とは、特定の時間に受ける組数、人数、滞在時間をあらかじめ定めた枠のことです。
二部制を導入するかどうかではなく、自店の厨房と接客が安定する単位を決める考え方です。
- 18時台は、提供に時間がかかるコース予約を何組まで受けるか決めます。
- 19時以降は、当日客用に残す席数を曜日別に決めます。
- 大人数の予約は、開始時刻と料理開始時刻を予約時に確認します。
- 滞在時間が読みにくい日は、次の予約を詰め込みすぎないようにします。
予約台帳には、人数だけでなく、コース、アレルギー、子どもの有無、会計方法、来店目的も記録します。
ただし、入力項目を増やしすぎると現場で続きません。
まずは「人数」「開始時刻」「料理」「会計」「注意事項」の5項目に絞ると運用しやすくなります。
電話、グルメサイト、SNSのメッセージなど、予約経路が複数ある店は、情報を一つの台帳に集めます。
紙でも共有スプレッドシートでも構いません。
重要なのは、誰が見ても同じ空席状況を判断できることです。
予約時には、キャンセル規定や人数変更の期限も丁寧に伝えます。
年末は食材と人員を先に確保するため、通常月と同じ対応では負担が偏ることがあります。
規定の内容や表示方法は、契約条件や利用する予約サービスのルールを確認したうえで、自店に合う形に整えてください。
最低賃金改定後の年末シフトを組み直す手順

10月の最低賃金改定後は、年末シフトを前年の人数のまま作らず、時間帯別の仕事量から組み直します。
時給の上昇を単なるコスト増として捉えるだけでは、忙しい時間の残業や手待ち時間を見つけにくくなります。
地域別最低賃金は都道府県ごとに金額と発効日が異なります。
深夜割増、研修期間中の扱い、雇用契約の条件も含めて確認が必要です。
自店の所在地を管轄する労働局の情報と、最新の法令・案内を必ず確認してください。
シフトを組み直す際は、総人件費から考えるよりも、時間帯ごとの作業を書き出す方が実行しやすくなります。
例えば、開店前、ピーク、閉店後では必要な人数と役割が異なります。
店長がすべての穴を埋める前提では、年末を乗り切りにくくなります。
- 開店前は、仕込み、清掃、予約確認、テーブル準備を担当別に分けます。
- ピーク時は、案内、注文、配膳、会計の担当を曖昧にしません。
- 閉店後は、締め作業、洗浄、翌日の仕込みを終了時刻まで含めて見積もります。
- 大人数予約がある日は、料理を出す時間に厨房補助を厚くします。
見るべき数字は、「1時間あたりの売上」と「その時間に働く人の人件費」です。
厳密な分析が難しい場合でも、レジの時間帯売上を確認し、各時間に入った人数を横に書くだけで判断材料になります。
売上が少ない時間に常に人が余るなら、出勤時刻や担当業務を調整する余地があります。
一方で、ピークの人員を削りすぎると、提供遅れ、注文漏れ、片付け遅れにつながります。
人件費率だけを下げるのではなく、客席回転、追加注文、口コミへの影響も見ながら判断します。
人件費率とは、売上に占める人件費の割合です。
採用を進める店は、求人票に業務の全体像を具体的に示します。
「ホールスタッフ募集」だけでなく、勤務時間帯、担当する作業、研修の流れを書きます。
短時間勤務の人でも任せられる定型業務を切り出すと、既存スタッフの負担を減らしやすくなります。
忘年会メニューの原価と提供時間を10月に確認する

年末の宴会メニューは、原価率だけでなく、仕込み時間と提供時間を含めて利益を確認します。
食材原価が低い料理でも、注文ごとの手作業が多ければ、繁忙日の利益を圧迫する場合があります。
原価率とは、売上に対する食材費の割合です。
ただし、飲食店のメニュー判断を原価率だけで行うと、現場の負荷を見落とします。
年末に強いメニューは、仕込みを前倒しでき、複数の注文で食材や作業を共通化できるメニューです。
10月末までに、宴会コース、飲み放題、単品の主力料理について、1人前あたりの食材と作業を見直します。
仕入価格は変動するため、古い原価表をそのまま使わないことが大切です。
納入業者から届く直近の価格表や請求書をもとに更新します。
- コース料理ごとに、食材費、盛り付け時間、提供順を紙1枚にまとめます。
- 複数コースで共通に使える前菜、鍋具材、デザートを検討します。
- 注文を受けてから工程が増える料理は、繁忙日の提供可否を判断します。
- 品切れ時に代替しやすい食材と料理を、厨房内で共有します。
価格を見直す場合は、単純に全品を一律に変える必要はありません。
量、品数、ドリンクの組み合わせ、予約限定特典などを含めて設計できます。
お客様に伝える際は、分かりにくい追加料金を後から出すより、予約時点で内容と条件を明確にする方がトラブルを防ぎやすくなります。
また、年末は団体予約で飲み放題の注文が増える店もあります。
ドリンクの在庫、グラス、洗浄能力、提供動線まで確認してください。
ドリンク担当が注文を受け続け、料理や会計のフォローに入れない状況は起こりがちです。
人気の飲み物を絞ったセットを設けることも、提供の安定化につながります。
値上げやコース内容の変更を検討する場合は、常連客への告知時期も決めます。
店頭、予約ページ、SNSなどで案内する内容をそろえます。
食品表示やアレルゲン対応に関するルールは、提供形態に応じて確認が必要です。
制度上の要件は、関係機関の最新情報を確認してください。
年末の新規客を常連客につなげる予約後の対応

年末に来店した新規客を次回来店につなげるには、会計時の販促より、予約から退店までの不安を減らす対応が効果的です。
団体幹事や家族連れは、料理、席、会計が予定どおり進んだかを強く記憶します。
リピート率とは、一定期間内に再び来店した顧客の割合です。
小規模店では全員を細かく分析しなくても、再来店のきっかけを記録し、次の案内に生かすところから始められます。
まず、予約した人に対して、来店前に必要な情報を簡潔に伝えます。
長い案内文は読まれにくいため、アクセス、開始時刻、人数変更の連絡先、コース内容、支払い方法などを整理します。
予約サービスの自動送信機能や、定型文を保存したメッセージ機能を使えば、毎回ゼロから作る必要はありません。
- 団体予約には、来店前日に人数と開始時刻を再確認します。
- 幹事には、料理開始の目安と会計方法を事前に伝えます。
- 子ども連れや高齢者がいる予約では、席や料理の希望を確認します。
- 退店時には、次に使いやすい時期や利用場面を一言添えます。
再来店を促す施策として、次回特典やLINE公式アカウントなどを使う店もあります。
ただし、値引きを常態化させると、利益を削りながら集客する形になりかねません。
まずは、平日限定の小さな特典、季節メニューの先行案内、誕生月の案内など、来店理由を作る設計を検討します。
顧客情報を扱う場合は、取得目的を明確にし、必要以上の情報を集めないことが基本です。
連絡先を保管する方法、閲覧できるスタッフ、退職者のアカウント管理も決めておきます。
個人情報保護に関する対応は、店舗の運用や利用サービスに応じて、最新の公的な案内を確認してください。
口コミへの対応も、年末前に方針を決めると迷いが減ります。
好意的な投稿には感謝を伝え、指摘には事実確認のうえで誠実に対応します。
個別事情を公開の場で詳しく扱わず、改善する点があれば店内の手順に反映させます。
投稿数を増やすことより、実際の体験を安定させることが長期的な集客の土台になります。
10月末から年末までの飲食店実行スケジュール

年末準備は、一度に完璧に整える必要はありません。
10月末に予約と利益の基準を決め、11月に試し、12月は毎日調整する進め方が現実的です。
個人店や少人数の運営では、会議資料を作るより、現場で使う確認表を一枚にまとめる方が続きます。
最初の1週間は、予約台帳、シフト、主力メニューの情報を集める期間です。
次の段階で、週末や団体予約がある日に新しい手順を試します。
いきなり最も忙しい金曜日に変更せず、平日や小規模な予約から始めると、スタッフも改善点を出しやすくなります。
- 10月末は、曜日別の予約枠と宴会メニューの提供上限を決めます。
- 11月前半は、最低賃金改定を反映したシフトと役割分担を試します。
- 11月後半は、予約確認の定型文と団体対応の手順を統一します。
- 12月は、毎営業日の終了後に売上、欠品、残業、苦情を短時間で振り返ります。
日次の振り返りでは、数字を増やしすぎないことが大切です。
まずは「売上」「予約人数」「人件費の見込み」「欠品」「お客様からの指摘」の5項目で十分です。
数字に大きな変化があった日は、理由を一言だけ残します。
翌週のシフトや仕入れを修正する材料になります。
AIを使う場合も、最初から複雑な予測システムを導入する必要はありません。
過去の予約一覧を匿名化し、曜日別の傾向を整理する、予約確認文の下書きを作る、店内マニュアルを要約するといった用途から始められます。
顧客情報や売上データを外部サービスへ入力する際は、利用規約、権限設定、情報管理のルールを確認してください。
年末終了後には、1月中に振り返りの時間を確保します。
利益が残った日と、忙しかったのに負担が大きかった日を比べると、翌年に残すべき予約枠やメニューが見えてきます。
年末商戦を単発の繁忙期で終わらせず、通常月の運営改善に生かすことが、限られた人員で店を続ける力になります。
よくある質問
Q. 飲食店は年末商戦の準備をいつから始めるべきですか?
飲食店の年末商戦準備は、10月末から始めるのが実務的です。
予約枠、宴会メニュー、シフトを11月に試せるためです。
すでに予約が入っている場合は、まず団体予約日の人員と料理提供手順を確認してください。
Q. 忘年会予約は何人まで受けるべきですか?
忘年会予約の上限は、席数ではなく厨房と接客が同時に対応できる人数で決めます。
過去のピーク時に料理提供が遅れた人数を確認し、同じ時間帯に受ける組数、コース数、開始時刻を分けて設定してください。
Q. 最低賃金改定後に飲食店が確認することは何ですか?
最低賃金改定後は、対象となる従業員の時給、発効日、深夜割増を確認します。
そのうえで、時間帯別の売上と作業量に合わせてシフトを組み直します。
地域ごとの金額や制度の詳細は、最新の公的情報で確認してください。
Q. 年末の宴会メニューは値上げした方がよいですか?
年末の宴会メニューは、原価と提供負荷を確認したうえで必要なら見直します。
一律の値上げだけが選択肢ではありません。
品数、食材、ドリンク構成、予約条件を整え、繁忙日でも安定して提供できる内容にしてください。
Q. 年末の新規客をリピーターにする方法はありますか?
新規客のリピートには、次回来店の特典よりも当日の体験を安定させることが有効です。
予約確認、席案内、料理提供、会計をスムーズに行い、退店時に次に使いやすい利用場面を一言添えるところから始めてください。
中小企業が明日から取り組めること
- 直近4週間の予約台帳を見返し、曜日と時間帯ごとに受けた人数を紙1枚へ書き出します。
- 年末の団体予約がある日について、料理開始から提供完了までの担当者を決めます。
- 主力の宴会メニューを1つ選び、食材費、仕込み時間、提供順を厨房スタッフと確認します。
- 最低賃金改定後の時給を反映し、11月前半のシフトで人員過不足がないか試します。
- 予約前日に送る確認連絡を定型化し、人数変更と会計方法を確認する項目を入れます。
あわせて読みたい
- 【飲食業】【未来予測】飲食店の未来予測|2030年へ利益と常連を守る準備 — 年末後も続く利益と常連づくりに役立ちます
- 【観光】【人件費】宿泊業の最低賃金改定対応|10月に人員と年末利益を整える — 繁忙期の人件費と人員設計の考え方が近いです
- 【士業】【標準化】士業の10月業務標準化|年末繁忙に備える実務 — 繁忙期前に手順を整える実務が参考になります
ストラテジーデザインにご相談ください
自社の場合はどこから手をつけるべきか、30分の無料相談で整理します。
- SD補助金|補助金活用支援 — 使える補助金の診断から申請サポートまで。自己負担を抑えて投資できます。
- SD CLOUD — 中小企業のための業務クラウド。スモールスタートで現場から変えられます。
この記事を書いた人
吉田 光広 / 代表取締役CEO ストラテジーデザイン株式会社
1997年からITの最前線に立ち、ゲーム開発を経てWeb・システム開発の会社経営を20年以上継続。 現在はAIコンサルタントとして上場企業への講師登壇や高校生向けAI教育を担当し、 ITプロ育成スクール「PROCLASS」代表も兼務。中小企業のAI・DX導入を現場で支援している。
著書:泥臭いAI ― リアルビジネスをAIでハックする/AIを雇う技術 ― 100人の天才を部下にする仕事術/AI×教育の実践ガイド ― 問いを立てる力を育てる