HOME / ブログ / AI時代のブランド構築:企画速度が10倍になる理由 2025.12.02 BRANDING SNS運用ブランディング AI時代のブランド構築:企画速度が10倍になる理由 ── AIはブランドを“作る”のではなく、“加速させる” 「AIがあればブランドづくりも簡単になる」そう思われがちですが、実際の現場では少し違います。 AIはブランドを勝手に作ってくれる魔法のツールではありません。しかし、正しく使えば、ブランド構築のスピードと精度を10倍に引き上げる“強力な補助輪” になります。 重要なのは、AIを“代替者”として使うのか、“思考の拡張装置”として使うのか。この違いが、成果を大きく分けます。 ■ なぜAI時代に「ブランド構築」が加速するのか これまでブランド構築には、膨大な時間がかかっていました。・市場調査・競合分析・顧客インサイト抽出・コンセプト案の作成・コピーの試作・仮説検証これらは本来、人間の思考力と経験に依存する工程です。しかしAIの登場により、「考える前の下準備」が一気に高速化しました。つまり、人間は“考えること”に集中できる時代に入った のです。 ■ AIを使ってもブランドが弱くなる会社の共通点 一方で、AIを導入しても成果が出ない企業も多く存在します。その理由は明確です。① AIに“答え”を求めてしまう「いいブランドコンセプトを考えて」「売れるキャッチコピーを作って」この使い方では、ブランドは弱くなります。なぜなら、AIが出すのは 平均点の集合体 だからです。② ブランドの軸が決まっていない前提となる・誰のためのブランドか・何を一番の価値とするかこれが曖昧なままAIを使うと、出てくる答えも当然ブレます。AIは「整理」は得意ですが、「決断」はできません。③ 人間の思考を止めてしまうAIを使うことで「考えなくていい」と思ってしまうのが最大の落とし穴です。AIは思考停止の道具ではなく、思考を深めるための装置 です。 ■ AIが最も力を発揮する“ブランド構築フェーズ” AIは、ブランド構築のすべてを担う必要はありません。特に効果を発揮するのは、次の3つの領域です。① 市場・競合・顧客情報の“整理役”AIは大量の情報を一瞬で構造化できます。・競合ブランドの共通点と差分・顧客レビューからの感情抽出・市場トレンドの要約これにより、人間は「どこに勝ち筋があるか」を考えることに集中できる ようになります。② コンセプト仮説の“壁打ち相手”ブランドコンセプトは、最初から完璧である必要はありません。AIに・別案を出させる・強みと弱みを指摘させる・違う切り口を提示させることで、思考の幅が一気に広がります。重要なのは、最終決定を人間が行うこと です。③ コピー・ストーリーの試作スピード向上キャッチコピーやブランドストーリーは、数を出すことで質が上がります。AIを使えば・トーン違い・ターゲット違い・長短バリエーションを短時間で生成できます。人間はその中から「ブランドとして正しいもの」を選び、磨き上げる役割を担います。 ■ AI時代のブランド設計で“人間が担うべき役割” では、人間にしかできないことは何か。それは、次の3つです。● 決断することブランドは選択の連続です。どの価値を前に出し、何を捨てるのか。この「覚悟を持った決断」はAIにはできません。● 物語を信じることブランドストーリーには、合理性だけでは説明できない「熱量」が必要です。創業者の原体験事業に込めた想い社会に対する違和感これを信じ、語れるのは人間だけです。● 一貫性を守り続けることAIは常に最適解を出そうとします。しかしブランドに必要なのは、時に「ぶれないこと」。長期的な一貫性を守る判断は、人間の仕事です。 ■ AI × ブランドで成果が出る企業の特徴 AIをうまく活用している企業には共通点があります。ブランドの軸が明確AIを“相棒”として使っている最終判断は必ず人が行うスピードを上げて検証回数を増やしているAI導入の本質は、ブランド構築の「試行回数」を増やすこと にあります。 ■ まとめ:AIはブランドの“加速装置” AI時代において、ブランド構築が不要になることはありません。むしろ、「考える力」「言語化力」「決断力」を持つ企業ほど、AIの恩恵を最大化できます。 AIはブランドを作るのではなく、“良いブランドが生まれるスピード”を劇的に早める存在 です。 【次回予告】 次回は、「AIを使ってSNS運用はどこまで自動化できるのか?」 をテーマに、投稿作成・分析・改善のどこまでをAIに任せ、どこを人が担うべきかを整理します。効率化とブランドらしさを両立させる、実践的なAI活用法を解説します。 北川 聡ブランディング・事業戦略コンサルタントStrategy-Design株式会社大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。 PREVIOUS BACK TO LIST BACK TO LIST NEXT