HOME / ブログ / SNS運用は“コンセプトの再現”が9割 2025.11.28 BRANDING SNS運用ブランディング SNS運用は“コンセプトの再現”が9割 コミュニティがブランドを育てる時代の戦略 運用ノウハウの前に「軸」がなければ伸びない理由**SNS運用について相談を受けると、多くの企業が最初に気にするのは「投稿頻度はどれくらいがいいのか」「リールと写真、どちらが伸びますか?」「ハッシュタグって重要ですか?」といった“運用テクニック”の部分です。 もちろん、これらも必要です。しかし実際のところ、SNSの成否を決めているのは テクニックではなくコンセプト です。 言い換えれば、SNS運用とは、ブランドコンセプトを日々の投稿で“再現し続ける”作業にすぎない。だからこそ、SNS運用の9割は“コンセプト次第”で決まります。 ■ SNSが伸びない企業に共通する「たった一つの欠落」 SNSがうまくいかない企業に共通する原因は、実はとてもシンプルです。コンセプトが存在しない、もしくは曖昧であること。コンセプトが曖昧な企業では、投稿内容がこうなります ・美味しそうな写真 → でも何が特徴かわからない・価格を伝える投稿 → コンセプトと関係ない・スタッフ紹介 → 投稿理由が不明・とにかく投稿するだけ → 世界観に統一性がない これではフォロワーは増えませんし、増えたとしても定着しません。SNSは“伝えるメディア”である以前に、世界観を見せるメディア だからです。 ■ コンセプトとは「ブランドの翻訳装置」 ブランドコンセプトとは何か?それは、マーケティング用語ではなく 「世界観を言語化した指針」 のことです。例えば…✔ きな粉スイーツブランド→「日本の素材を、日常の贅沢に変える」✔ ペットフードブランド→「家族の健康を守る、未来のごはん」✔ ジュエリーブランド→「想いをかたちにして、毎日に小さな光を」このように“存在理由をひとことで表したもの”がコンセプト。そしてSNS運用とは、毎日の投稿でこのコンセプトを少しずつ再現していく行為です。だから“コンセプトが弱いブランドは、SNSも弱い”。 ■ SNS運用の9割は「再現」 SNSにおける「再現」とは、以下のようなものです。● ① 投稿トーンの再現・文章のテンション・絵文字の使い方・写真の構図・色味、光、余白これらがバラバラのアカウントは絶対に伸びません。● ② 価値提供の再現コンセプトが「日常に贅沢を」なら、投稿は“贅沢さ”を感じるものでなければならない。 「健康」なら、情報の正確性や安心感が求められる。 これが“価値の再現”。● ③ ターゲット世界の再現投稿はターゲットのライフスタイルとつながっているべき。・20代女性なら →「共感」・30代女性なら →「余白のある上品な表現」・子育て世代なら →「安心・簡便性」SNSはターゲットの生活そのものを映す鏡です。● ④ 写真・動画の“世界観”の再現写真のクオリティはブランド価値に直結します。・影の入り方・物撮りの背景・カラーの統一・余白の使い方SNSでは、この“映像美の再現”が生命線です。● ⑤ 投稿理由(意図)の再現SNS運用は「綺麗な写真を上げること」とは全く違います。・その投稿で何を伝えたいのか・どんな感情を届けたいのか・ブランドのどの側面を見せたいのか目的を“再現”してこそ、アカウントに一貫性が生まれます。 ■ コンセプトの強いアカウントは「運用がブレない」 SNSが伸びる理由は、派手な動画を使っているからでも、頻度が多いからでもありません。世界観がブレないからです。逆にいえば、コンセプトが強いだけでSNS運用は半分以上成功しています。毎回 “何を投稿するか迷う” 企業は、実はコンセプトが定まっていないケースがほとんどです。 ■ では、良いコンセプトとは何か? SNS運用で強いコンセプトには、共通点があります。✔ ① 誰に向けたブランドなのかが明確ターゲットは「年齢」ではなく「価値観」で定義する。✔ ② “ブランドの存在理由” が伝わる単なるキャッチコピーではなく、なぜこのブランドが必要なのか。✔ ③ 投稿テーマに落とし込みやすいSNS用に分解すると、以下のような投稿カテゴリが自然に生まれる。・世界観投稿・商品・サービス投稿・ストーリー投稿・原料・技術投稿・Before / After・お客様の声・スタッフ紹介(世界観に合う形で)コンセプトは、SNS投稿の設計図そのものと言える。 ■ 実例:大手事業でも「再現の精度」で差が出る 実際の現場では、投稿内容ではなく「再現の精度」が、アカウントの伸びを左右しています。 ■ SNS運用改善の最初の一歩は「投稿」ではなく“言語化” よくある誤解として、「運用改善=投稿改善」と思われがちですが、実際は違います。改善の最初の一歩は、ブランドコンセプトの再定義と言語化です。言語化ができれば、SNSの9割は自動的に整います。 ■ まとめ:SNSは「発信」ではなく“翻訳” SNS運用で必ず押さえるべき本質はひとつ。SNSとは、ブランドをわかりやすく翻訳する場所。ブランドコンセプトを毎日再現し続ける場所。だからこそ、・いい写真・動画編集・ハッシュタグ・高い更新頻度これらは“最後に必要なもの”であり、根幹ではありません。SNS運用は、コンセプトの再現率が上がった瞬間から、一気に伸び始める。 次回は、【SNSで売れるブランドと売れないブランドの決定的な差】をテーマに深掘りします。 北川 聡ブランディング・事業戦略コンサルタントStrategy-Design株式会社大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。 PREVIOUS BACK TO LIST BACK TO LIST NEXT