HOME / ブログ / SNSで“売れるブランド”と“売れないブランド”の決定的な差 2025.11.30 BRANDING SNS運用ブランディング SNSで“売れるブランド”と“売れないブランド”の決定的な差 ── “情報発信”ではなく“世界観の再現”をしているかSNSは今やブランドにとって最も重要な接点となりました。しかし、同じInstagramやTikTokを使っていても「売れるブランド」と「売れないブランド」には、明確な違いがあります。 結論から言うと、その差は“発信しているかどうか”ではなく“世界観を再現できているかどうか”にあります。 多くの企業は、「投稿を増やせば売れる」と考えがちですが、SNSで伸びるブランドは投稿数ではなく、ブランドコンセプトの再現度が圧倒的に高いのです。 ■ SNSで“売れるブランド”が必ず持っている3つの条件 条件①:投稿が“コンセプトを体現する1枚”になっている売れるブランドは、どの投稿を見ても「このブランドだ」と分かる一貫性がある。いわゆる“同質性”が高い。 逆に売れないアカウントは、・世界観が投稿ごとに違う・色味がバラバラ・売り手の都合で投稿されているなど、ブランドの軸が見えない状態になってしまっている。 SNSとは、「そのブランドの世界観を覗く場所」。だからこそ、1枚の写真・5秒の動画でもコンセプトを再現できなければ、ユーザーの記憶に残らないのです。条件②:商品の説明ではなく、“価値の理由”が伝わっている売れるブランドは、商品そのものよりも「なぜその価値が存在するのか」を伝えるのが圧倒的に上手い。・どんな想いで作られたのか・どんな課題を解決するのか・なぜそのデザイン・サイズ・製法なのかこれらの“理由のストーリー”があることで、ユーザーは「買う理由」を得ます。逆に、説明だけが並んでいると、価値が伝わらず、単に“情報投稿”で終わってしまう。SNSは「物語が流通する場所」でもあるということです。条件③:ブランドより“ユーザーを主人公”にしている売れるブランドは必ず、ユーザーの生活・体験にブランドを接続しています。・この商品はあなたのどんな日常に寄り添う?・どんな感情を生む?・どんな変化が起こる?これを視覚的に示すことで、ユーザーは“自分事化”し、購入につながる。逆に売れないアカウントは、「自社がどうすごいか」に終始してしまい、ユーザーが登場しない。SNSは“出演者がユーザー”になるほど強い媒体です。 ■ 売れるブランドは“クリエイティブ設計”ではなく、“体験設計”をしている SNSではクリエイティブ(動画・写真)のクオリティが重視されがちですが、本当に重要なのは 体験設計 です。ユーザーが投稿を見た瞬間、どんな体験として受け取るか。同じ動画でも、・美しい世界観に浸った・情報を得た・欲求が刺激された・自分に重ね合わせたという“感情体験”によって成果が全く変わります。SNSで売れるブランドは、動画や画像の美しさ以上に、この感情設計を徹底しています。 ■ SNSで売れないブランドが陥る“3つの罠” ① 投稿の目的が「更新すること」になってしまう「毎日投稿しないと…」「とりあえず1本動画を…」このモードになると、コンセプトの再現度が一気に下がる。投稿数は武器ではありますが、ブランドの世界観を壊してしまうなら逆効果です。② アルゴリズム対策ばかり意識する近年は“伸びる動画のテンプレ”が多く出回っていますが、それを使ってもブランドの魅力は伝わりません。ブランドは 「模倣」ではなく「世界観の積み重ね」で認識される のです。アルゴリズム対策=補助輪世界観=ブランドの足腰本質を見失ってはいけません。③ “売るためのSNS”になってしまう売れるブランドほど、実はSNSで“売りにいって”いません。・世界観を見せる・ストーリーを見せる・ファンを巻き込む・体験を提供するこの積み重ねの結果として「売れる状態」が生まれています。SNSはドアノックではなく、“ブランドのショールーム”なのです。 ■ SNSで成果を出したブランドの共通点(実例から) 私が実際に支援してきたブランドの中でも、伸びるアカウントには共通点がありました。● 和菓子・洋菓子ブランドブランドの「素材の世界観」を徹底的に再現。店舗→SNS→商品がすべて一本の線でつながった結果、ファンが急増。● ペットブランド(TOFU TOFU)“やさしさと安心”というブランド軸を、トンマナ・コピー・動画の空気感にまで落とし込み、SNS → LP → 購入 までストレスなくつなげられた。● アパレルブランド「憧れ」×「日常」の体験を設計することで、ただの商品紹介から一気に“ブランド投稿”として認識され、客層が大幅に変化。どのブランドにも共通しているのは、SNSを“世界観の再現装置”として使っているということです。 ■ まとめ:SNSで成果を出す鍵は“ブランドの再現度” SNSは「投稿数」ではなく、“世界観の密度”で勝負が決まります。・コンセプトの再現・ユーザーを主人公にする視点・一貫した世界観・感情体験の設計・商品ではなく価値を語るこれが揃ったブランドは必ずSNSで伸び、結果として“売れる状態”が生まれます。 SNSは単なるマーケティングではなく、ブランドそのものを見せるステージなのです。 【次回予告】 第7回|AI時代のブランド構築:企画速度が10倍になる理由 次回は、いま最も注目されている 「AI × ブランド構築」 をテーマにお届けします。 ・AIで“分析すべき項目”の優先順位・SNSコンセプト作成でAIが最も力を発揮するポイント・人間がやるべき思考と、AIに任せるべき作業の境界線など、明日から使える実践的な活用法もご紹介。 AIがブランドの企画フェーズを 10倍速に変える本質 を紐解きます。どうぞお楽しみに。 北川 聡ブランディング・事業戦略コンサルタントStrategy-Design株式会社大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。 PREVIOUS BACK TO LIST BACK TO LIST