SNSで“売れるブランド”と“売れないブランド”の決定的な差

── “情報発信”ではなく“世界観の再現”をしているか

SNSは今やブランドにとって最も重要な接点となりました。
しかし、同じInstagramやTikTokを使っていても「売れるブランド」と「売れないブランド」には、明確な違いがあります。

 

結論から言うと、その差は“発信しているかどうか”ではなく“世界観を再現できているかどうか”にあります。

 

多くの企業は、「投稿を増やせば売れる」と考えがちですが、SNSで伸びるブランドは投稿数ではなく、ブランドコンセプトの再現度が圧倒的に高いのです。


 

■ SNSで“売れるブランド”が必ず持っている3つの条件

条件①:投稿が“コンセプトを体現する1枚”になっている

売れるブランドは、どの投稿を見ても「このブランドだ」と分かる一貫性がある。
いわゆる“同質性”が高い。

 

逆に売れないアカウントは、

・世界観が投稿ごとに違う

・色味がバラバラ

・売り手の都合で投稿されている

など、ブランドの軸が見えない状態になってしまっている。

 

SNSとは、「そのブランドの世界観を覗く場所」。
だからこそ、1枚の写真・5秒の動画でもコンセプトを再現できなければ、ユーザーの記憶に残らないのです。


条件②:商品の説明ではなく、“価値の理由”が伝わっている

売れるブランドは、商品そのものよりも「なぜその価値が存在するのか」を伝えるのが圧倒的に上手い。

・どんな想いで作られたのか

・どんな課題を解決するのか

・なぜそのデザイン・サイズ・製法なのか

これらの“理由のストーリー”があることで、ユーザーは「買う理由」を得ます。

逆に、説明だけが並んでいると、価値が伝わらず、単に“情報投稿”で終わってしまう。

SNSは「物語が流通する場所」でもあるということです。


条件③:ブランドより“ユーザーを主人公”にしている

売れるブランドは必ず、ユーザーの生活・体験にブランドを接続しています。

・この商品はあなたのどんな日常に寄り添う?

・どんな感情を生む?

・どんな変化が起こる?

これを視覚的に示すことで、ユーザーは“自分事化”し、購入につながる。

逆に売れないアカウントは、
「自社がどうすごいか」に終始してしまい、ユーザーが登場しない。

SNSは“出演者がユーザー”になるほど強い媒体です。

 

■ 売れるブランドは“クリエイティブ設計”ではなく、“体験設計”をしている

SNSではクリエイティブ(動画・写真)のクオリティが重視されがちですが、
本当に重要なのは 体験設計 です。

ユーザーが投稿を見た瞬間、どんな体験として受け取るか。

同じ動画でも、

・美しい世界観に浸った

・情報を得た

・欲求が刺激された

・自分に重ね合わせた

という“感情体験”によって成果が全く変わります。

SNSで売れるブランドは、動画や画像の美しさ以上に、この感情設計を徹底しています。

■ SNSで売れないブランドが陥る“3つの罠”

① 投稿の目的が「更新すること」になってしまう

「毎日投稿しないと…」
「とりあえず1本動画を…」

このモードになると、コンセプトの再現度が一気に下がる。

投稿数は武器ではありますが、
ブランドの世界観を壊してしまうなら逆効果です。


② アルゴリズム対策ばかり意識する

近年は“伸びる動画のテンプレ”が多く出回っていますが、それを使ってもブランドの魅力は伝わりません。

ブランドは 「模倣」ではなく「世界観の積み重ね」で認識される のです。

アルゴリズム対策=補助輪
世界観=ブランドの足腰

本質を見失ってはいけません。


③ “売るためのSNS”になってしまう

売れるブランドほど、実はSNSで“売りにいって”いません。

・世界観を見せる

・ストーリーを見せる

・ファンを巻き込む

・体験を提供する

この積み重ねの結果として「売れる状態」が生まれています。

SNSはドアノックではなく、“ブランドのショールーム”なのです。

■ SNSで成果を出したブランドの共通点(実例から)

私が実際に支援してきたブランドの中でも、伸びるアカウントには共通点がありました。

● 和菓子・洋菓子ブランド

ブランドの「素材の世界観」を徹底的に再現。
店舗→SNS→商品がすべて一本の線でつながった結果、ファンが急増。

● ペットブランド(TOFU TOFU)

“やさしさと安心”というブランド軸を、トンマナ・コピー・動画の空気感にまで落とし込み、
SNS → LP → 購入 までストレスなくつなげられた。

● アパレルブランド

「憧れ」×「日常」の体験を設計することで、ただの商品紹介から一気に“ブランド投稿”として認識され、客層が大幅に変化。

どのブランドにも共通しているのは、
SNSを“世界観の再現装置”として使っている
ということです。

■ まとめ:SNSで成果を出す鍵は“ブランドの再現度”

SNSは「投稿数」ではなく、“世界観の密度”で勝負が決まります。

・コンセプトの再現

・ユーザーを主人公にする視点

・一貫した世界観

・感情体験の設計

・商品ではなく価値を語る

これが揃ったブランドは必ずSNSで伸び、結果として“売れる状態”が生まれます。

 

SNSは単なるマーケティングではなく、ブランドそのものを見せるステージなのです。

【次回予告】

第7回|AI時代のブランド構築:企画速度が10倍になる理由

 

次回は、いま最も注目されている 「AI × ブランド構築」 をテーマにお届けします。

 

・AIで“分析すべき項目”の優先順位

・SNSコンセプト作成でAIが最も力を発揮するポイント

・人間がやるべき思考と、AIに任せるべき作業の境界線


など、明日から使える実践的な活用法もご紹介。

 

AIがブランドの企画フェーズを 10倍速に変える本質 を紐解きます。
どうぞお楽しみに。

北川 聡

ブランディング・事業戦略コンサルタント

Strategy-Design株式会社

大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。

事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、
「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。