HOME / ブログ / SNS時代のブランドは“ユーザー出演型”で成長する 2025.11.26 BRANDING SNS運用ブランディング SNS時代のブランドは“ユーザー出演型”で成長する コミュニティがブランドを育てる時代の戦略 SNSが主役となった現代、ブランドの成長ルールは大きく変わりました。かつては、企業が発信する広告やコピーがブランド価値を形づくりましたが、今は ユーザー自身の投稿・感想・体験 がブランドを語り、広げ、育てていきます。つまり、ブランドはユーザーが出演して成長していく時代に突入したということです。本稿では、企業主体のブランド構築が通用しなくなった理由と、SNSで勝つブランドが採用している “ユーザー出演型” の戦略について解説します。 「企業が語るブランド」は信じられなくなった SNS普及以前は、・広告・パンフレット・会社の理念・店頭デザインなど、“企業の言葉” がブランドそのものでした。 しかし今、ユーザーは企業の言葉よりも「他のユーザーのリアルな声」を信頼するようになりました。 ・Google口コミ・Instagramのタグ投稿・Xの感想・TikTokの体験レビュー・YouTubeの紹介動画 これらの「第三者の声」が、企業の発する情報より圧倒的に影響力を持っています。つまり、企業が必死に「私たちはこういうブランドです」と伝えても、ユーザーがそう感じていなければブランドは成立しないのです。 これからのブランドは “ユーザー出演型” に変わる では、現代で成長するブランドはどんな構造か?結論は一つです。ユーザーが主役になり、ブランドは「舞台」を提供する存在になる。企業が語るのではなく、ユーザー自身の投稿・来店・体験・レビューによって、ブランド価値が広がっていく。これは単なる「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」の話ではありません。もっと本質的には、ブランドの世界観を“ユーザーが表現できる場”を作ることがカギになるということです。 SNS時代に強いブランドの特徴は「演じやすさ」 SNSで伸びるブランドには明確な共通点があります。 それは——ユーザーがブランドの世界観の一部になりやすいということ。 具体的には次のような特徴があります。● ①「撮りたくなる場所」があるただの店舗ではなく、・サインウォール・影が綺麗に落ちる壁・シンボルアイコン・世界観を象徴するパーツなど、世界観と一貫した“撮影スポット”が必ず存在する。● ② 商品が“映える”ように設計されている味・価格以上に、・色・形・ライティング・手元ショットのしやすさ・シーンを作れることこれらが「ユーザーが撮りたい」を生む。● ③ 世界観が統一されており、真似しやすいブランドのトーンが明確なため、「このブランドっぽい投稿」という型が存在する。その型があるから、ユーザーは再現しやすい。● ④ SNSの“語られ方”を企業が決めすぎないあえて余白を残し、ユーザーが自由に創造・表現できる構造をつくる。 ブランドは「ステージ」、ユーザーは「演者」 これまでのブランド戦略は企業が主役で、ユーザーが受動的という構造でした。しかしSNS時代は真逆。・主役:ユーザー・脚本:ブランドが提供する世界観・舞台:店舗、商品、SNS企画・観客:フォロワー、コミュニティブランドは“劇場の運営者”のような存在になります。ユーザーがステージに立ち、演じ、表現し、その様子が広がるほど、ブランドの影響力は強くなっていきます。 では何から始めればいいのか? ユーザー出演型ブランドをつくるためには、以下の3つから取り組むのが最も効果的です。① SNSでの「理想の語られ方」を定義するこれは「どんな投稿が増えるとブランドが強くなるか」を決める作業です。例:・手元に映る商品が象徴的・世界観が感じられる構図・友人との写真が欠かせない・文章よりも“体験”で語られるこの方向性を決めると、ユーザーの投稿はどんどん統一されていきます。② “撮りたくなるスポット”を設計する具体的には、・ブランドロゴの使い方・壁面の色と素材・商品を置く台のデザイン・格子・影・光の入り方・看板の形・カトラリーの世界観これらをSNS視点で設計すると、投稿数は劇的に増えます。③ コミュニティ設計を行うフォロワーの“参加感”がブランド成長を加速させます。・ユーザー投稿を企業側が紹介する・ストーリーで顧客の体験を共有する・ブランド公式が「お客様の声」を世界観に合わせて紹介する・タグ投稿を育てていく・常連ユーザーを“アンバサダー”へ育成するユーザーが出演する仕組みが整うと、ブランドは企業の広告より強く育っていきます。 まとめ:SNSの主人公はブランドではなく“ユーザー”である 今、最も強く成長しているブランドは、企業が主役ではありません。ユーザーひとりひとりが、ブランドを表現し拡散する主役になっている。企業はそのための“舞台”を整えるだけ。そしてそのステージの完成度こそが、ブランド成長のスピードを決めていきます。 次回予告 第5回は「コンセプトが弱いSNS運用は9割が失敗する」というテーマで、ブランド設計とSNS運用の関係を掘り下げます。 北川 聡ブランディング・事業戦略コンサルタントStrategy-Design株式会社大学卒業後、不動産投資会社にて事業分析と投資スキーム構築に携わる。その後、家業である和菓子店に戻り、オンライン通販会社を立ち上げ、ECを軸にした新しい販売モデルを構築。家業を継承後は、和洋菓子ブランド 「吉祥菓寮」 を創設し、事業規模を約20倍・国内9店舗へと成長させるブランドへ育て上げた。事業売却後は、自身が培ってきたブランド構築・事業運営・組織づくりの経験をもとに、IT領域に強みを持つ吉田との出会いをきっかけに ストラテジーデザイン株式会社 に参画。以降、ブランディング・事業戦略・海外展開支援の分野で、「日本から世界へ繋がるブランドをつくる」 をテーマに、企業や商品の発展に尽力している。 PREVIOUS BACK TO LIST BACK TO LIST NEXT